綾つむぎの「織」
1400本のタテ糸を用いる綾つむぎの着物づくり。織り上げるまでには30以上もの工程があります。それらを機械に頼らずひとつひとつをあえて手作業で、時間をかけて作り上げるのには理由があります。
こちらでは、綾つむぎの織りの特長やポイントとなる工程をご紹介いたします。
特徴
機械織りにはない、手織りによる風合い
手織りの魅力はなんと言っても柔らかな風合いにあります。固くなりがちな機械織に比べて、着物は軽く柔らかく、帯は弾力があり、緩まずシワにもなりにくいと着物愛好家からの喜びの声も多く聞かれます。作り手を想い、使えば使うほどに愛着のわく、そんな織物を目指しております。
機械織り…
高速で動かすため、タテもヨコも糸を非常に強く張る
手織り…
テンションが強くないため、糸本来の緩み・縮みが生まれる
(下記「主な工程」内、「座繰り」も同様)
→風合いのよい上質な織物になる
琉球伝統の花織り
秋山の生まれ故郷である沖縄の伝統的な織技法です。
織によって柄を表現する”組織”の設計により、多様な花が浮かび上がります。
味わい深い絣(かすり)の文様や色彩
織にいたる加工の過程で、部分的に糸を括り防染することで柄を生み出す技法です。
大きく分けて経糸を括る”経絣”、緯糸を括る”緯絣”、2つを組み合わせる”経緯絣”があり、括る部分・幅・色等、描く図面により変化する為、無数の柄が表現されます。
主な工程
座繰り
小石丸の繭を糸にします。繭を煮て、適当な太さになるように一定の粒数に保ちながら、引いていきます。熟練を要する仕事です。
現代の繰糸はすべて自動で高速で引くので、出来上がった糸は伸びきった輪ゴムのような、こしのない糸になってしまいます。このような方法で引いてしまっては、せっかくの貴重な繭が台無しです。糸の本来の質を引き出すには、古い方法が最適なのです。
製図
言わば織物の設計図。縦糸・横糸一本一本をどのような配置や順番で重ねていくかを方眼紙のマス目で描き出し、織り子さんに指示するものです。
絣くくり
図面に沿って指定された部分を糸で括る作業です。
単純ですが、括る強さ・速度・正確さなど、経験が問われる工程です。
上下(あげさげ) ※経糸のみ
経糸の絣をずらして、まとめて括るための作業です。効率よく仕事をするための技術ですが、昔の人はよくぞこんな方法を考えついたものだと、本当に感謝します。
絵図(いじ)※緯糸のみ
綾つむぎは、ルーツが沖縄にあるので、仕事の用語の中にも沖縄の言葉が使われています。
「絵図(いじ)」とは、絣の種糸のこと。緯糸(よこいと)を織るように、台に種糸を張っていきます。そして、図面の模様を描いていきます。絵図で示された位置を綿の糸で括ります括られたところが染まらないので、模様ができます。黙々と続ける地味な仕事です。
綜絖(そうこう)通し、筬(おさ)通し
機に掛ける前に、綜絖と筬に通します。1400本の糸を、間違えずに組織図通りに通します。
織り
綾つむぎの織りは、沖縄の伝統を引き継いでいます。沖縄伝統の花織りや絣の技法で織られます。着物の製作における、花形の作業です。
湯通し
絹が傷まないぎりぎりの高温のお湯にくぐらせて糊を落とし、反物を幅出しして、風合いよく仕上げます。